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離婚協議書
離婚協議書とは
離婚手続をする前に、離婚後の生活を考えて、養育費、慰謝料、財産分与など離婚に伴う金銭の問題や親権、面接交渉権などの子供の問題について、夫婦で十分話し合うことが重要になります。
話し合った内容や取り決めた条件を離婚協議書に記載して、同じものを2通作成し、夫婦双方がそれぞれ署名押印して、それぞれ各1通ずつ保管するようにします。
これが離婚協議書です。
取り決めの詳細を書面にしておくことが重要
養育費などの金銭問題は、誰が、いつ、いくら、どのような方法で支払うかなどの詳細を取り決めておく必要があります。
養育費の支払いは長期間に及びますので、交わした約束が守られなくなる場合のことも考えておくべきです。
現実問題として、約束どおりに長期間きちんと養育費を支払ってくれる人は少ないのです。
口約束だけでは後になって約束自体を反故されたり、支払ってもらえなくなるケースが多いのです。
離婚後、養育費を支払う側は、次第に支払いたくない気持ちになり、経済的理由などで滞ってしまったりします。
この養育費に関してですが、裁判所の統計では、離婚後に養育費が不払いや、支払い遅滞になってしまうケースは、約8割にもなるそうです。
>>離婚母子世帯における父親からの養育費の状況
離婚協議書にしておくことで、支払われない場合や離婚後のトラブルのときには、その離婚協議書が充分な証拠になりますので裁判や調停になった場合でも有利になることは間違いありません。
一度取り決めた離婚協議書を相手の親や兄弟が見て納得できないと反論してくるケースも多いのです。
そのためにもやはり、時が経っても相手に何も言わせない、反論できない離婚協議書を作成する意味があるのです。
離婚協議書には、未成年の子がいる場合は親権者・養育費・面接交渉権、財産分与、慰謝料などについて話し合いで合意できた内容を具体的に書いておきましょう。
離婚協議書作成の注意点
離婚協議書を作成する際に、注意しなければならない点がいくつかあります。
夫婦で話し合った結果、合意してお互い納得して離婚協議書を作成しても、すべて有効になる訳ではありません。
離婚協議書は、法律に乗っ取って作成し、無効になるような条件を記入しても全く効力はないのです。
離婚後のトラブルを避けるために離婚協議書の知識を知っておくべきでしょう。
下記のような取り決めは無効になります!
法的に無効になる取り決め
養育費はいらない
「離婚してくれるなら、養育費はいらない!」と離婚成立時に約束したとして離婚協議書に記載しても、養育費の請求を放棄する合意は無効になります。
養育費は、離婚した相手に払うのではなく、あくまで子供の権利として、子供に対して払うことになるのです。
子供の成長に必要な費用を監護者が勝手に断るようなことは法律上認められません。
子供と会わない
「子供とは一生会わないから、離婚してほしい」などと親の身勝手で子供との面会を拒絶しても、面接交渉権を放棄する合意は無効になります。
面接交渉権は親が子供に会う権利であると共に、子供が親と会える権利でもあり、親として当然の権利を放棄することは出来ないのです。
親権者の変更をしない
離婚時に取り決めた親権者を変更することは、家庭裁判所の調停・審判の判断により可能になります。
子供のため、事情や状況の変化によって親権者を変更しなくてはならない場合もあるのです。
よって、親権者を変更しないとする合意は無効となります。
財産分与、慰謝料などの支払を長期分割払い
財産分与や慰謝料は基本的に一括払いとなります。
しかし、離婚時に財産などをきちんと分与せずに、長期に渡る分割での支払いを約束する場合がありますが、あくまでも離婚に伴う財産分与であったり、慰謝料を意味するわけですから何十年もの長期分割払いは認められなく無効になります。
分割払いになってしまう時は、頭金や最初の支払額を出来るだけ多く設定して、支払い期間もなるべく短くした方が良いのです。
その他
基本的には、公序良俗に違反する場合や法律に違反する場合には無効となります。
また、一般常識から理解できないような取り決めや社会的通念から逸脱した条件は、認められずに効力がないと判断されます。
また、騙されたり、脅されたりした時の合意は取り消すことが可能になります。
取り消しとは、取り消すまでは有効となり、例え脅された合意でも、それを取り消すまでは無効にならないので果たす義務が生じてしまいます。
取り消す場合には、家庭裁判所に調停を申し立てなくてはいけません。
夫婦お互いが納得した離婚協議書でも、法律に違反する取り決めや条件は効力が全くありません。
長期間に渡って金銭等の受け渡しがある場合には、必ず離婚協議書を公正証書にして、強制執行認諾約款を付けるようにして下さい。
そうすることで約束を守ってもらえない時には、相手の財産や収入を差押えすることが可能になります。