財産分与の対象
夫婦共有財産の半分は配偶者のもの
財産分与の対象になる財産は、婚姻期間中に夫婦の協力によって築いた財産です。
婚姻期間中に夫婦で築き上げた財産であれば、土地や車の名義がどちらかのものであっても、夫婦の協力があってこそ築けたと見なされ、夫婦共有財産であると考えられます。
よって、離婚の時には、その財産の半分は配偶者のものであると考えて良いのです。
夫婦が協力して築いたもの全てが対象になると考えて良いでしょう。
主に、不動産や預貯金、株式などが分与の対象になります。
但し、結婚前から個人で所有していた財産は、財産分与の対象になりません。
また、婚姻期間中に相続したり、贈与を受けた財産なども対象から外れます。
財産分与対象になる財産
- ●土地や建物などの不動産
- ●自動車、絵画、宝石、金などの動産
- ●現金、預貯金
- ●有価証券、投資信託
- ●退職金、年金
- ●生命保険金
- ●会員権(ゴルフ場、リゾート施設など)
- ●借金、債務、住宅ローン、車ローン
- ●個人事業主の財産
※財産分与として車をもらう場合、ローンが残っていなければ名義を変更するだけでよいのですが、ローンが残っていたら、その名義は通常ローン会社になっていますので、夫婦の合意だけでは譲り渡すことができません。 ローンの残債をどうするか話し合う必要があります。
退職金は、結婚する以前の勤続期間分は対象外となります。
また、離婚後に退職金が支給された場合には、その時点で分与されます。
婚姻期間中の日常生活に生じた借金は、夫婦共同の財産分与の対象となり、連帯して支払う義務があります。
しかし、夫婦の一方が生活のため以外の目的で個人的に借りた借金は、分与の対象にはなりません。但し、連帯保証人になっている場合は、分与の対象となります。
分与対象にならない財産
- ●結婚前から個人で所有していた財産
- ●結婚前に与えられた財産、家財道具
- ●相続財産、贈与財産
- ●個人で使用する日常品(衣類など)
- ●法人会社の財産
※夫婦のどちらかが法人会社を経営している場合は、あくまでも法人の財産は会社の財産とみなされますので個人の財産分与の対象にはなりませんが、個人事業や相応と判断された場合は、財産分与の対象となります
結婚前のものは財産分与の対象にはならない
結婚前に持っていた預貯金や嫁入り道具、結婚にあたって親から送られた金銭や不動産、親から相続した遺産、贈与された財産などは個人の所有であるため、夫婦共有財産にはなりません。
しかし、例えば夫の両親から譲られた不動産が、婚姻中にその不動産の価値が上昇した場合や、妻の寄与がなければ維持できなかった・価値が減少していたであろうということが認められた場合には、この不動産は分与の対象になるということもあり得ます。
離婚前に財産分与の対象となる財産と、対象にならない財産を確認して整理しておくと良いでしょう。対象となる財産の関係書類等(不動産権利書、証書・通帳・印鑑)を確保しておきましょう。
- ●不動産登記簿謄本、権利書
- ●銀行預金通帳、印鑑
- ●生命保険契約書
- ●自動車の車検証
- ●その他の有価証券
夫婦の話し合いで財産分与について決める場合は、金額や支払の方法、支払期間などを具体的に定め、取り決めた内容は離婚後のトラブルを避けるために、必ず離婚協議書等の文章にしておきましょう。
また、金銭に関する取り決めは強制執行認諾文付きの公正証書にしておくことをお薦めします。支払いが滞るなど、約束が守られない場合には直ちに強制執行をすることができます。