養育費不払い 国が介入

養育費不払いの問題が後を経たず、
それに対して「養育費相談支援センター」(東京都豊島区)を昨年の10月に開設していたそうです。
親は子どもの養育に責任があり、離婚しても当然「養育費」を支払う義務があるが、養育費を受けているのは全母子家庭の二割に満たない。取得率向上に向け国は昨年十月一日「養育費相談支援センター」(東京都豊島区)を開設。その成果と今後の課題をまとめた。 (山本哲正)

 「長女(15)が高校に入るため、元夫に養育費を請求したい」。三年前に離婚した女性(38)は七月、同センターに電話で相談した。離婚時には「顔も見たくない」ほど嫌い、養育費の取り決めはしなかった。元夫は再婚して子どもがいるという。

 元家庭裁判所調査官の相談員は「子が成人するまではいつでも請求できる。新しい子がいても、養育費負担の義務は変わらない」と丁寧に説明。(1) 円満な話し合いができるなら、養育費を取り決め、証明力の高い公正証書をつくる(2)話し合いができないか、合意に至らないなら、家裁で調停を−と方法を 紹介した。

 後日、女性から感謝の電話があった。「養育費の額に大幅な差があった」ため調停を申し立てたという。

 全相談約二千五百件(七月末現在)のうち、センターにとって対処しやすい「離婚前の相談」は約32%。センターが周知され、本年度に入って増えた。相談に対して「養育費をきちんと取り決め、公正証書をつくる調停離婚」を勧めている。

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 調停離婚をしても、養育費が支払われない例も多い。そんな難問にセンターの限界もみえる。五年前に調停離婚をした女性(39)は「二年前から養育 費が支払われていない」と相談。センターの勧めで、女性は給与差し押さえの強制執行を進めたが「元夫に会社を辞められた」。途方に暮れる女性に対し相談員 は「しばらく様子を見て収入ができてから、再度の話し合いをするか強制執行を」と助言するしかなかった。

 養育費の支払いが一年滞ったため相談した女性(37)は、調停を勧められたが「相手の経済状況が悪い。いくら回収できるか分からないのに、自分の 勤務先を調停で休めない」とあきらめた。この女性は「公的機関の介入で、養育費をもらう側の労力や負担を減らしてほしい」と希望する。

 「元夫に会うのは精神的な負担が重すぎる」と、相談もできない女性(41)は、子ども二人分の月三万円が滞っている。「元夫との話し合いが嫌で泣き寝入りしている女性は多いはず。元夫と会わなくても、養育費を払ってもらえる公的仕組みがあれば」と話す。

 センターの役割は(1)相談事業(2)全国各地の相談員育成(3)啓発活動−だが、鶴岡健一センター長は相談を受ける過程で"不備"が見えてきた という。「国が、離婚の要件として養育費支払いを義務づける必要がある。欧州などには、国が養育費を立て替え払いして、父親に返済を求める制度もある」 と、国への提言に前向きだ。

 母子家庭の平均年収は約二百十万円で、全世帯平均の四割未満(二〇〇五年、厚労省調べ)。養育費の取得もままならず、児童扶養手当の一部削減は「凍結」されているものの、削減方針は変わっていない。

 センターの運営委員で、ひとり親家庭を支援するNPO法人Wink(東京都新宿区)理事長の新川てるえさんも「母子家庭は貧窮し、養育費が頼りのケースも多いのに、当事者任せになっているのが問題。国が介入できる法整備が必要だ」と訴える。

 養育費相談支援センターの電話番号は03・3980・4108。

このニュースを読む(引用中日新聞)

法律が整備されれば、母子家庭の貧窮は楽にはなるのかもしれません。